アメリカでのいい話⑤ 勉強ができる環境とは?

ベストな勉強環境とは何だろう?

そんなことを考えさせられた話です。

 

Mさんは朝6時から夜の9時ごろまで開いている店のオ-ナ-。奥さんも一緒に働く、働き者夫婦が営むガーデニング店です。

子供は、小学生が4人、長男、長女、次女、次男。仕事が忙しくて、家の中は掃除が滞り、いろんな物が散乱して足の踏み場に困るほど。商売もあまり順調とは言えず大変だ。でも、子供への愛情はいっぱいでした。

 

子供たちと言えば、長男はテレビゲ-ムをいつも独占、やさしい長女は毎日お母さん代わりに家事、おっとりした次女はいつも読書、そして次男はいつも長男にゲ-ムをやらせろと喧嘩をしかけては負けて次女の横に行き一緒に読書。

 

そして、家には勉強机がひとつ、その上、机の上はいろんなものが山積みで、勉強には使えなさそう。次女に「勉強机なくて平気なのか」と聞くと「床でも、テ-ブルの端でもできる」といって、みんな本当に散らかったテ-ブルの角の20cm平方ほどの隙間で勉強をしていた。そんな様子を見て、あまり勉強できるようにはなれないだろうな-。そんな風に見えていました。

 

しかし、私の感は見事におお外れ!

 

長男が高校3年になったとき、親にお金の負担をかけたくないと難関のアメリカ空軍士官学校に挑戦。親孝行だと感心しましたが、ロスアンゼルスでも数人の合格しか出ないと聞いていたので、無理だろうと思っていました。しかし!あの環境で!なんと合格してしまった。長男はロスアンゼルスの高校生の中でもトップクラスになっていたのです。

 

やさしい長女はカリフォルニア州立大学に奨学金で入り、父が子供の一人になってほしいと願ったCPA(公認会計士)になりました。今はワシントン州の湖が見渡せる丘の上に豪邸を建て幸せに暮らしています。

 

次女は名門バ-クレ-大学に合格、トップクラスしかもらえない返却無用の奨学金をもらい大学院まで進み博士号を取得。現在はカリフォルニア自然環境保護局代表。

 

次男は一番騒がしくて勉強はできなさそうだったが、なんと特待生で名門中の名門、ハ-バ-ド大学に合格。これもロスアンゼルスでは数人で、現在は、なんとプロのポ-カ-プレイヤー兼、映画会社勤務。

 

個性的に育ったこの4人の話は、勉強できる環境って何なのかも考えさせます。そして、答えは多くの人が考えているものとはだいぶ違います。

彼らにとって勉強ができる環境とは、いい机や、静かな環境ではなかった。彼らを勉強に向かわせたのは、親から受けた愛情と自立しようとする強い思いだった。「いつも、お母さんは朝から晩まで働いていてかわいそう、早く楽にしてあげたい」4人みんなが、そう話していた。つまり、彼らを一番変えたのは、家族のために一生懸命に働く親の姿だったのかもしれない。